スマホ進化形、拡販のカギ ドコモ・KDDI 今週、携帯夏モデル

NTTドコモとKDDIは今週、携帯電話の今年の夏モデルを相次ぎ発表する。スマートフォン(高機能携帯電話)販売で携帯電話全体の6〜7割を目指す中、端末やサービスを大幅に進化させ、幅広い利用者への浸透を図る。両社は目の動きに合わせ画面が点灯するなど高性能な端末を投入し、NTTドコモは音声認識サービスを拡充。携帯電話市場は急速にスマホにシフトしており、夏商戦の主導権争いでリードしたい考えだ。

 ドコモの発表会は16日。注目は、処理速度の高いクアッドコアCPU(中央演算処理装置)を採用し、高性能化を図った韓国サムスン電子製の「ギャラクシーS3」だ。画面にふれなくても目の動きを追い、画面を点灯したままにしたり、不在着信を手に取った際に振動で知らせるなどの機能もある。日本向けは高速通信規格「LTE」対応端末が用意され、同規格のサービス「Xi(クロッシィ)」を展開するドコモから発売される可能性が高い。

 ソニーモバイルの「エクスペリアGX」はおサイフケータイ機能なども搭載した多機能モデル。操作を簡素化し中高年に人気となった「らくらくホン」のスマホ版(富士通製)も発表が取り沙汰されている。

 15日に発表するKDDIは、高速通信サービス「WiMAX(ワイマックス)」に対応した富士通の「アローズISW14F」が注目だ。台湾HTC製で、米グーグルの基本ソフト(OS)の最新版を採用した「HTC J」は夏モデルとして発表され、早くも話題だ。

 ドコモは同時に、音声認識サービス「しゃべってコンシェル」で、インターネット上の膨大な情報を瞬時に検索し、利用者の質問に答える機能を強化する。多くの情報を比較して最適な回答を導き出すことで、利便性を向上させる。

 各社とも携帯電話販売に占めるスマホの割合を高めている。調査会社のMM総研は、今年度のスマホの出荷台数は全体の約7割に達するとみており、高速化やサービス拡充など機能強化による差別化が拡販のカギを握る。(中村智隆)