“いいこと系ソーシャル”が増殖中

ソーシャルメディア」という言葉を聞くと、TwitterFacebookといったユーザー同士のコミュニケーションサービスを連想するのが一般的だ。しかし最近、ネット上では「ソーシャルで社会をよくしよう」という明確な目的意識を持った新しいタイプのソーシャル系サービスが続々登場しはじめている。こうしたサービスに共通するのが「ソーシャルグッド」というキーワード。その定義は幅広いが、“ITやWebの力を使って社会問題を解決する”という側面が国内外で注目されているのだ。

わかりやすい例として、「CauseWalker」というアプリがあげられる。これをスマホに入れて歩いたり走ったりすると、「1km=1pt」単位でポイント化される。たまったポイントは「1pt=2円〜」に換算され、それに応じて指定したNPO法人にスポンサー企業から寄付がされるのだ。自分の健康管理をしつつ、寄付という形で世の中に貢献できるわけだ。

また、街中に落ちているゴミを拾い、その様子を投稿することで世界をキレイにしよう! という趣旨で運営されている「PIRIKA」というサービスもある。ゴミ拾いという地道な行為も、ソーシャルでつながれば楽しくなる…というのだけれど、一体どういうことなのだろう? PIRIKA代表の小嶌不二夫氏に聞いてみた。

ソーシャルメディアに“いいこと”を組み合わせるメリットは主に二つあります。ひとつは、その行動が周囲に広まりやすいこと。ゴミを拾うという行為がFacebookなどを通じて友人に広まれば、自然とその行動に共感してくれる人が出てきます。もうひとつは、他のユーザーから感謝や応援を得られること。行動のモチベーションにつながり、“いいこと”が長続きしやすくなるんです」

日本人には「善行は人知れずにやるのが美徳」という伝統があるけれど、むしろ自分の“いいこと”をソーシャルで広めて、周囲を巻き込む方がメリットは大きいということか。

そのほかにも、Facebookで情報をシェアするだけで募金活動になる「i-kifu」など、国内だけでも実に様々なソーシャルグッドサービスがスタートしている。新しいソーシャルの使い道が世の中をどんなふうに変えていくのか、今後の動向に注目したい。
(呉 琢磨)