iPhoneとAndroid、2台のスマホを月額7000円以下で運用する方法

 iPhoneAndroidスマートフォンiPadGalaxy Tabなどのタブレット、さらにはMacBook Airやウルトラブックなどのノートパソコン……。巷には、モバイル端末があふれている。こうしたモバイル端末を日常的に使う人にとって、頭の痛い問題が毎月の通信料金だ。


 スマホだけでも1台あたり、月額固定のパケット定額サービス利用時で最低4000円前後から6000円前後はかかる。従来の携帯電話とスマホ、またはiPhoneAndroidという2台持ちをすれば、毎月の通信料金はさらにアップする。通話や他社へのSMSを利用すると、1万円を超えることもざらだ。

 膨らむいっぽうの通信料金をどうすれば節約できるのか。複数のモバイル端末を使う際に役立つ3つの節約方法を紹介する。

iPhoneAndroidの2台持ちはMVNO SIMで解決

 1つめの対策は、パケット通信料を下げる方法だ。筆者は、メーンとしてソフトバンクモバイルの「iPhone 4」を使い、サブとしてNTTドコモの「Xperia arc」も持ち歩いている。通常なら「月月割」の1920円(NTTドコモは「月々サポート」。Xperia arcの場合、機種変更だと月額700円となる)を差し引いても、iPhone 4が月額は最低3785円、Xperia arcが月額6055円かかる(ともに月額固定のパケット定額サービス利用時。ユニバーサルサービス料は含んでいない)。通話料が0円だったとしても、月額料金は合計で9840円だ(NTTドコモの月々サポートは、2011年3月14日以降にAndroidスマホを購入した人から適応されている)。

 どちらか一方を解約できれば良いのだが、なかなか踏み切れない。ソフトバンクモバイルの通信網では出張時に不安があるし、iモードメールでしか連絡を取れない人もいる。スマホとケータイを2台持ちしている人も、同じような問題を抱えていることだろう。

 どうすれば、安く2台持ちできるか? NTTドコモAndroidスマートフォン利用者という条件付きながら、使い勝手を損なうことなく、大幅にパケット代を節約する方法がある。NTTドコモMVNO(仮想移動体サービス事業者)が販売するSIMカード日本通信の「b-mobile SIM」やスーパー大手のイオンの店頭で取り扱う「イオン専用b-mobile SIM」を利用する方法だ。

最大100Kbpsのプランなら月額980円

 複数ある選択肢の中で、月額料金が最も安くなるのは、イオン専用のb-mobile SIMを利用する方法だ。同SIMカードはプランが3つあり、受信最大100Kbpsの「プランA」なら月額980円(ユニバーサルサービス料を除く)で利用できる。正直なところ、通信速度はかなり遅く、Webページを開くのにも時間がかかる。

 それでもAndroidのデータ通信機能をオフにし、モバイルWi-Fiルーターを利用して通信するよりは使い勝手は良い。やはり、スマホを快適に使いたいなら、3G回線でいつでもネットにつながる状態が望ましい。受信最大100Kbpsでも、テキストがメーンのGmailの新着メールチェック、Twitter程度なら我慢できる。

 SIMカードの変更は、とても簡単だ。もともとAndroidに挿入されていたNTTドコモFOMA SIMカードを抜き、新たに契約したイオン専用b-mobile SIMカード(見た目はFOMA SIMカードと同じ)をセットする。あとは設定でAPNを変更するだけだ。

余ったFOMA SIMカードはプランを見直して再活用

 続いて考えるのは、Androidにイオン専用 b-mobile SIMを導入したことで余った、FOMA SIMカードの取り扱い。毎月の通信料金を下げつつ、iモードメールも使えるようにするには、ここからが重要になる。

 まず余ったFOMAカードの使い道。これは、古いFOMAケータイに挿して利用する。理由はiモードメールを、FOMAケータイから送受信するためだ。Androidにイオン専用b-mobile SIMなど、NTTドコモ以外のSIMカードを挿すと、iモードメールを受送信する「SPモードメール」アプリが使えなくなる(同アプリは「SPモード」のAPN接続が必要なため)。

 そこで昔使っていたFOMAケータイにFOMA SIMカードを挿して、元通りiモードメールを使えるようにする。ポイントは、スマホに乗り換えたときに解約した、iモード契約を復活させること。これでFOMAケータイにSIMを戻したときにiモードメールを使い続けられる。結果的に、iPhoneAndroidFOMAケータイの3台持ちになるが、こうすることで目的の機能を維持したまま、月額料金の節約できる(iモードメールの受送信には、パソコンなどから操作できる「iモード.net」(月額210円)を利用する方法がある。筆者は使い勝手重視で、古いFOMAケータイの併用している)。

月々サポートを維持するかどうかが、次のポイント

 プランの見直しも忘れずにしたい。検討するのは、契約するパケット定額サービスの種類だ。どのパケット定額サービスを選ぶかは、3台持ちに移行したあとのFOMAケータイでかかったパケット通信料金で決まる。そこで移行1カ月目は、月々サポートの対象になる2段階定額サービス「パケ・ホーダイ ダブル2」契約に変更した上で、さらに安いプランに変更できるかどうかを見極める。目安は、パケ・ホーダイ ダブル2の下限額を2100円から月々サポートを差し引いた金額だ。この金額をFOMA ケータイの実質パケット通信料が下回るか、上回るかを確認する。

 筆者はFOMAケータイから乗り換えでXperia arcを購入した。このため月々サポートは月額700円となり、パケ・ホーダイ ダブル2の下限額から差し引くと1400円になる。この金額に対し、移行したFOMAケータイで使ったパケット通信料金は月額600円前後だった。つまり月々サポートの700円をもらうために、800円分のパケット料金を余分に支払っている計算になる(使用したパケット料金は、「Mydocomo」サービスで確認できる)。

 このように月々サポートに固執すると、逆に割高な通信料金を支払うこともある。そこで筆者は、月々サポートの対象外になることを承知の上で、パケット定額プラン「パケ・ホーダイ シンプル」(月額0円から上限額4410円の2段階定額制。左記の金額はiモード利用時の上限額)へと切り替えた。

 結果、通話プランの「タイプSSバリュー」と組み合わせても、月額料金は2000円前後に抑えられた。イオン専用b-mobile SIMの料金を含めても、月額3000円前後で済む。iPhone 4を4000円以下で利用できれば、3台使っても合計7000円以下に収まるわけだ。

 最も、筆者が実践する“3台持ち”の節約方法は、端末を使い分けるのが面倒くさい。Androidをイオン専用 b-mobile SIMに移行したあと、Xperia arcの出番は確実に減った。それでも、いざという時のために、NTTドコモ通信網対応のスマホを確保しておきたい人には、こうした節約方法を検討してみてはいかがだろうか。

無料通話アプリ、IP電話サービスを導入して通話料金を下げる

 2つめは「高額なスマホの通話料」を見直していく。スマホの通話料はケータイと全く同じとはいえ、もともと通話料自体が高額だった。ソフトバンクモバイルホワイトプランNTTドコモのタイプSSバリューなど、各キャリアで最も安い通話プランを利用すると、30秒で21円もかかる。同キャリアユーザー間なら無料となる通話時間帯や、月額1000円程度の無料通話特典があるとはいえ、スマホで通話すると月額料金があっという間に跳ね上がる。

 ケータイ全盛の時代は、この高額な通話料金を受け入れるしか選択肢はなかったのだが、スマホ時代に突入して状況が一変した。「Skype」や「Viber」といった無料通話アプリが、スマホから利用できるようになったからだ。また今年7月は、NTTコミュニケーションズから「050 plus」というIP電話サービスがiPhone向けに登場した(9月からAndroid版も登場した)。

 この050 plusの魅力は、050ではじまる自分専用のIP電話番号が取得できること。そして、取得した050番号を通知した上で、電話をかけられることだ。

 通話料も大幅に節約できる。国内の通話料は、通話先が固定電話の場合で8.4円/3分。ケータイの場合は、16.8円/分だ。また050 plusユーザー同士、提携のIP電話なら通話料は無料となる。050 plusを利用には、基本料金として月額315円かかるのだが、1カ月の間に固定電話へ8分以上、ケータイなら12分30秒以上電話すると元は取れる。

 筆者は、iPhone 4に050 plusを導入以来、仕事関係の電話050 plusからかけるようにしている(相手がソフトバンクモバイルユーザーの場合を除く)。もともと1カ月に30分から1時間程度しか通話していないが、それでも相手先が固定電話とあって節約効果は高い。実際、iPhoneの通話料は0円となり、050 plusでかけた通話料も毎月100円〜300円前後に収まっている。

メッセージアプリで“他端末&他キャリア”間のSMS代を節約

 3つめはSMSの節約だ。スマホを購入してから、SMSを使うようになったという人が多い。SMSは、キャリアの電話網を使って、指定したユーザー(電話番号)へ、ショートメッセージ(70文字以内)をダイレクトに送るサービスだ。同キャリアの端末同士だとSMS代は無料(パケット通信料のみ)だが、他キャリアでの話になると別。1通送るのに3.15円かかってしまう。

 最近まで筆者の周りには、iPhoneユーザーが多く、SMS料金を気にすることなくやり取りができたのが、状況は大きく変わった。au版からiPhone 4Sが販売され、NTTドコモなど他キャリアのAndroidユーザーも増えてきたためだ。iPhoneが採用するOS「iOS 5」では、同OSを利用するiPhoneiPod touchiPad間でメッセージをやり取りできる「iMessage」が使えるようになった。しかし、au版のiPhone 4Sは12月中旬時点で未対応。このためSMSの送信料がかかってしまう。

 こうした他キャリア端末とのやり取りに、欠かせなくなってきたのがメッセージアプリだ。メジャーなアプリは、通話機能も備わったNEVER Japanの「LINE」や、Facebookのメールを受信する「Facebook Messenger」。どちらも、iPhone、そしてAndroid向けに同じアプリが無料で提供されている。LINEはスマホの電話番号、Facebook MessengerはFacebookのIDを使って登録するため、導入や友人との連携も簡単だ。

 個人的には、TwitterのDMを利用することもある。複数人へDMを送るときに「Pop'n DM」(85円)を利用している。DMを送信することに特化したアプリなので、DMを送るつもりでメンションやツイートを送ってしまうミスも防げる。メッセージのやり取りも、いろいろな方法が出てきた。支払い明細のSMS欄を確認してみて、知らないうちに他社間SMSをたくさん使っていると分かったら、無料でメッセージを送る対策を講じたい。

 今回紹介した3つの方法を駆使すれば、スマホを2台持ちしても、通話料金をグッと抑えられるはずだ。