総務省が相次ぐ通信事故でNTTドコモを指導--電通法の違反も

総務省は1月26日、NTTドコモに対して同社が提供する携帯電話サービスにおいて生じた事故を踏まえ、再発防止策を含む対策などを早急に講じ、その実施結果を報告するよう指導した。

 具体的には、総合通信基盤局長名の本日付けの文書により、以下の観点を踏まえた再発防止策などを早急に実施するとともに、その実施結果、今後の取り組みを3月30日までに報告するようにした。

利用者や通信量の増加に適切に対応するための電気通信設備の配備
電気通信設備の故障等の発生に対応するための適切な予備設備の配備及び監視体制の構築
負荷試験等を通じた輻輳防止
通信の秘密の保護及び個人情報の保護
利用者に対する適切な対応

 同省では、ドコモが提供する携帯電話サービスにおいて、2011年4月以降4件の重大な事故が発生しており、2011年6月6日の事故を除くとスマートフォンにかかるもので、スマートフォン利用者が急増する中、システムの信頼性を向上させる対策などの必要かつ適切な措置が十分に講じられていなかったことにより発生したものと考えている。

 特に、2011年12月20日に発生した事故では、利用者のメールアドレスやメール本文などが漏えいしており、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第4条第1項に規定する通信の秘密の漏えいがあったものと認められるという。さらに、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第20条及び電気通信分野における個人情報の保護に関するガイドライン(平成16年総務省告示第695号)第11条第1項に規定する安全管理措置義務に違反するものであるとも認めている。

総務省が公表した事故の概要

2011年6月6日に発生した事故(携帯電話の音声通話、パケット通信が利用しづらい状況となった事案)
・影響時間:13時間9分
・影響サービス:音声通話、パケット通信(電子メール、インターネット接続等)
・影響利用者数:約150万
・原因:利用者の位置情報等を格納するサービス制御装置が故障。装置に故障が起きた際の切り替え手順の不具合により正常な装置についても予備装置に切替を実施。それに伴い多数の端末から一斉に位置情報の再登録の要求が行われたことにより、サービス制御装置の処理能力が大幅に低下。

2011年8月16日に発生した事故(SPモードのパケット通信が利用しづらい状況となった事案)
・影響時間:7時間
・影響サービス:SPモードに係るパケット通信(電子メール、インターネット接続等)
・影響利用者数:約110万
・原因:SPモード用中継スイッチが故障。いったんネットワークから切断された多数の端末から一斉に接続に係る認証要求が行われたことにより、認証サーバの処理能力が大幅に低下。

2011年12月20日に発生した事故(SPモードメールにおいて、一部利用者のメールアドレスが別の利用者のメールアドレスに置き換わる状況等が発生した事案)
・影響時間:5時間38分
・影響サービス:SPモードメール
・影響利用者数:約2万(うち、通信の秘密の漏えいに係る利用者数は2,017、個人情報の漏えいに係る利用者数は6,619)
・原因:伝送路故障に伴い、いったんネットワークから切断された多数の端末から一斉に接続に係る認証要求及びIPアドレス割当要求が行われたことにより利用者情報を管理するサーバの処理能力が大幅に低下し、電話番号とIPアドレスの関連付けに不整合が発生。

2012年1月1日に発生した事故(SPモードメールの送受信がしづらい状況となった事案)

・影響時間:3時間15分
・影響サービス:SPモードメール
・影響利用者数:約260万(うち、不達メッセージを受信できなかった利用者数は、約20万)
・原因:利用者のメールボックス情報等を格納するサーバへの問合せ件数が同時アクセス数の上限値を超過したことにより、同サーバの処理能力が大幅に低下。

2012年1月25日に発生した通信障害(携帯電話サービスが利用しづらい状況となった事案)
・影響時間:4時間42分
・影響サービス:携帯電話(FOMA)に係る音声通話、パケット通信(電子メール、インターネット接続等)
・影響利用者数:最大約252万
・原因:1月25日未明に切り替えたパケット交換機が不安定な状態になった。その後、通信需要が急増したことにより、通信輻輳が拡大したため、通信規制を実施(最大70%)。