ツイッター投稿、国別に削除容認 「検閲だ」「表現の自由規制」 反発相次ぐ

【ベルリン=宮下日出男】簡易ブログ「ツイッター」のサービスを提供する米ツイッター社は28日までに、現地の法律に違反しているとして政府などから削除要請があった場合、当該国・地域では投稿内容を閲覧できなくすると発表した。これに対し、「検閲を認めることになる」と反発が広がっている。

 同社の発表によると、投稿内容の削除要請に応じた場合、その国・地域では見られなくなるが、他の地域では引き続き閲覧可能。実施した場合はその都度、報告する。従来は世界一律に投稿内容を削除することしかできなかったが、新たな技術を導入した。

 ツイッターは、中東民主化を促した「アラブの春」や米国の反格差社会デモで市民が連携し活動が拡大する際の重要な手段となった。

 このため今回のツイッター社の発表に対し、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)は「表現の自由を規制する」として抗議文を同社に送付。中国の民主化を求める芸術家、艾未未(アイウェイウェイ)氏もツイッター上に「検閲されるならツイッターをやめる」と書き込んだ。

 同社は利用者を現在の1億人から10億人に増やすことを目指しており、サービスの提供拡大には、現地事情に配慮する必要があったとも欧米メディアは指摘している。

 同社幹部は「これは最後の手段であり、まずは投稿内容が削除されないように努力する」とAP通信に語っている。