書籍スキャン代行業者を提訴=著名作家7人が差し止め請求―東京地裁

紙の本を電子書籍端末で読むため、裁断してスキャナーで読み取る「自炊」と呼ばれる作業を代行するサービスで、著作権を侵害されたとして、小説家の浅田次郎さん、漫画家の弘兼憲史さんら作家7人が20日、代行業者2社を相手取り、作品の複製差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴えられたのは、「スキャンボックス」の名称で代行サービスを展開する「愛宕」(川崎市)と、「スキャン×BANK」(東京都新宿区)。
 訴状によると、2社はインターネットなどで注文を受け、1冊数百円程度の料金で、送られた書籍を裁断。スキャナーで読み取った上、電子ファイル化して納品していた。
 原告側は、代行業者は著者の許諾を受けずに作品を複製しており、著作権を侵害していると主張。作家122人と出版社7社が9月に、複製しないよう求める質問状を代行業者約100社に送ったが、被告の2社は今後も継続すると回答したという。
 提訴後に会見した浅田さんは、「作品は血を分けた子供と同然で、見ず知らずの人に利用され、知らないところで利益が出るのは許せない。裁断された本は正視に耐えない」と訴えた。