議場もIT化?…地方議会にiPad導入の動き

 地方議会にiPad(アイパッド)などタブレット型の多機能情報端末や高機能携帯電話(スマートフォン)を導入する動きが出ている。

 事務の省力化や効率化が期待できる一方、議案審議にはあまり生かされておらず、現時点で活用方法は限定的。「公務と個人使用との区別がつきにくい」といった理由から導入に慎重な議会もあり、議場にも一気にIT化の波が押し寄せるのかどうか、不透明だ。

 佐賀県議会(定数38)は1月から議員への事務連絡の文書や資料の配布をiPadでのメール送信に一本化した。同県議会では昨年9月、全国に先駆け全議員を対象にiPadを導入。それまで議会閉会中の資料送付は、議員の自宅や事務所にファクスしていたが、全議員に1枚送るのに1時間ほどかかり、議員が留守のときは受け取れないケースもあったという。

 同県は小中学校の授業でiPadを利用するなど、情報端末の活用に積極的で、その便利さに着目した議員側が議会への導入を提案。端末はメーカーのキャンペーンを利用して無料で入手し、月額4725円の通信費は各議員に支給される政務調査費を充てている。

 中には視察先でカメラやメモ機能を使ったり、支持者との会合で資料や映像を示したりする議員もいる。木原奉文議員(自民)は「使いたい時に使え、瞬時に色んな情報が入るので便利」と話す。

 ただ、議案書は従来通り紙で配っており、本会議場や委員会室への持ち込みは「審議に集中できなくなる」として禁止。議案審議には使われていない。議会事務局は「まだ試行錯誤中。有効活用を考えていきたい」としている。(遠藤信葉)