高くついた反アップル戦略 NTTドコモで通信障害続出の真相

 通信ネットワークへの高い信頼性を売り物にしてきた、あのNTTドコモが、今期に入って8度も通信障害を引き起こして高い関心を集めている。

 現在までのところ、この問題の原因として定説になっているのは、スマートフォンの急普及に伴う通信トラフィックの増加ペースの予測が甘く、設備の増強が間に合わなかったというものだ。

 しかし、この問題には、それだけが原因とは言い切れない、別の本質的な問題が存在しているのではないだろうか。

 今から2年ほど前に、新興勢力に過ぎなかったソフトバンクモバイルに、タブレット端末のiPadの独占販売権などを譲渡されたことに強く反発して、ドコモが米IT業界の巨人アップルと全面対決に踏み切った問題である。

 パナソニックNECなど「ドコモ・ファミリー」と呼ばれる盟友関係にあった日本の携帯電話メーカーがそろって弱体化を続ける中で、新たな戦いの基盤になる携帯OSもプラットホームも持たないまま、ドコモが孤独な厳しい戦いに乗り出したことの代償が、予想外に大きかったと言わざるを得ない。 

 そこで、今回は、ドコモが挑んだビジネス戦争の知られざる一端をレポートしておきたい。

 関西地方で音声通話ができなくなるトラブルが発生した---。

 NTTドコモは今月7日、昨春から、8度目になる通信障害の発生を公表した。同社は1月25日にも、東京の都心で携帯電話が繋がりにくくなるトラブルを起こしており、最大で252万人程度に迷惑をかけた可能性があるという。翌26日には、総務省から早急な再発防止策の提出を求められる事態になっていた。