<ソーシャルメディアウイーク>田原総一朗氏らが基調対論 ツイッターでジャーナリズム「変わった」

ソーシャルメディアの市場拡大を目的にしたイベント「ソーシャルメディアウイーク(SMW)東京」が13日から始まり、ジャーナリストの田原総一朗氏と佐々木俊尚氏が「世界の変化とソーシャル・メディア」と題して基調対論を行った。毎日新聞社出身の佐々木氏から「ツイッターでジャーナリズムが変わったか?」と聞かれたテレビ東京出身の田原氏は「変わったね」と答え、自身の体験からテレビ局と新聞社の抱える問題点や、ソーシャルメディアの可能性について約1時間にわたり熱く語った。

 基調対論では、田原氏がツイッターを始めてから「若い人から『握手をしてくれ』といわれるようになった。ツイッターは批判が多いので(嫌がって)ブロックする人もいるが、僕は批判から刺激を受けている」と明かした。佐々木氏は「中東や米国など他の国と違い、日本には本当の意味で強い権力がなく、フェイスブックツイッターでたたくべき相手がいない。権力に反抗する時代は終わり、もう一度社会を再結成、再構築する方向に向いている」との見方を示した。

 また田原氏は、東日本大震災でテレビなどのメディアが徹底して遺体を映さなかった例、テレビ番組の内容について触れ「(報道が)無難になっている」「コンテンツに刺激がなくつまらなくなっている」と批判。佐々木氏は「社論と記者の考えを完全に合わせるのは無理」と明かし、ソーシャルメディアを活用して新聞社内でのさまざまな論戦を可視化するアイデアを提起した。

 さらに佐々木氏は、米国ではフェイスブックの普及率が60%に達して、遠く離れた家族がネットでつながって大家族制が復活しつつある例を挙げ、日本でも村や企業などの中間共同体の再構築にソーシャルメディアが役立つ可能性があるとの見方を示した。

 SMWは、09年からニューヨークなどの世界各都市で同時開催されるソーシャルメディアを題材にしたイベント。毎年2、9月に開催されており、前回は世界で約650のイベントを実施し、約3万人を動員している。6回目となる今回のテーマは「Empowering Change through Collaboration(コラボレーションによる変化の加速)」。メディア論だけでなく、マーケティング、プラットホーム、ゲームなどさまざまなテーマで日本では約50のセッションが開かれ、ミクシィ笠原健治社長らも講演する。17日まで。